
断熱リノベの工法別メリット・デメリットと費用感 ~2025年最新版~

なぜ断熱リノベーションが必要なのか
「断熱材を入れれば、家は暖かくなるはず」――そう思われがちですが、実際の日本の住宅事情はもっと複雑です。
日本の住宅は、世界的に見ても断熱性能が低いと言われています。特に1999年以前に建てられた住宅の多くは、壁に断熱材が入っていなかったり、量が薄すぎたり、窓が単板ガラスのままだったりと、外気の影響を強く受ける構造になっています。
その結果、冬は「暖房を強くかけても足元が冷える」、夏は「冷房をしても2階が蒸し暑くて眠れない」、さらに「窓際は結露でカーテンがカビだらけ」――こうした悩みを抱える方は少なくありません。
快適に暮らすために冷暖房をつけ続けても、エネルギーは逃げていき、光熱費ばかりがかさむ。これは暮らし方の問題ではなく、住宅の「断熱性能」が根本原因なのです。
だからこそ、断熱リノベーションは「我慢しない暮らし」「光熱費の抑制」「健康的な住環境」「住宅の寿命や資産価値を守る」ための最短の一手となります。
断熱不足が引き起こす問題

断熱が不足した家に住み続けると、想像以上に多くのデメリットがあります。
- 寒さ・暑さのストレス
冬は暖房をつけてもリビングから廊下に出ると寒さが身にしみ、夏は寝室が熱気でこもり、快適さが失われます。 - 光熱費の高騰
外に逃げるエネルギーが多いため、冷暖房の効きが悪く、毎月の電気代・ガス代が高止まりします。 - 結露やカビ・ダニ
冬場に発生する窓際の結露は、放置するとカーテンや壁紙にカビが広がり、ダニやアレルギーの温床になります。 - 健康リスク(ヒートショック)
暖かいリビングから寒い脱衣所やトイレに移動する際の急激な温度変化は、血圧の変動を引き起こし、命に関わる事故につながることもあります。
つまり「快適さ」「経済性」「健康」という暮らしの根幹に関わる問題が、すべて断熱不足から生まれているのです。
断熱リノベーションで実現できる未来

断熱性能を高めると、暮らしは劇的に変わります。
冬でも家中が暖かく、廊下や脱衣所との温度差が小さい。
夏は2階でも快眠できるほど涼しく、エアコンの効きも抜群。
結露が減って、カビやダニから解放され、健康リスクも低下。
光熱費が下がり、家計にもゆとりが生まれる。
そして建物の劣化スピードも抑えられ、資産価値の維持にもつながります。
断熱リノベは単に「快適さを買う工事」ではなく、家族の健康や生活コスト、そして住宅そのものの未来を守る“投資”なのです。
断熱リノベの代表的な工法と特徴
断熱リノベーションには複数の工法があり、住まいの状況や目的に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
■内窓(二重窓)
既存の窓の内側にもう一枚窓を取り付ける工法。短期間で施工でき、費用対効果が高い。断熱に加え、防音・結露防止にも効果が期待できます。
■内断熱(充填断熱)
壁や天井、床の内側に断熱材を入れる工法。比較的安価で既存住宅に導入しやすく、内装の仕上げを一新できるのが魅力。ただし工事中はその部屋が使えず、断熱材の途切れが生じやすいため、外断熱に比べると気密性はやや劣ります。
■外断熱(外張り断熱)
外壁や屋根の外側から建物全体を断熱材で包む工法。断熱効果が高く、気密性も向上。住みながら工事できる場合が多く、家全体の温熱環境を安定させますが、工事規模が大きくなるためコストは高めです。
■付加断熱
内断熱と外断熱を組み合わせた工法。新築並み、あるいはそれ以上の断熱性能を実現できるのが特徴です。光熱費削減効果も大きい一方、費用と工期が他の工法より大きくなり、専門的な設計と施工力が求められます。
■床下断熱
床下に断熱材を施工する工法。冬の底冷え対策に効果的で、素足で歩ける快適性を実現。施工方法によって工期や費用に幅があります。床を剥がさず床下から施工できる場合は比較的安価です。
■天井・屋根断熱
天井裏や屋根に断熱材を敷き込む、あるいは吹き込む工法。夏の強烈な日射熱を防ぎ、冷房効率を高めます。工期は数日〜1週間程度で、住みながら工事できるのもメリットです。
工法別の費用と工期の目安
工法 | 費用目安 | 工期の目安 | 特徴・備考 |
---|---|---|---|
内窓(二重窓) | 1箇所 5万〜20万円 | 1〜2日/住みながら可 | 費用対効果が高く、防音・結露防止にも有効 |
内断熱 | 150万〜300万円(30坪目安) | 2〜3週間/部屋使用制限あり | 比較的安価。内装を一新できるが、断熱の途切れが生じやすい |
外断熱 | 200万〜400万円(30坪目安) | 2〜4週間/住みながら可 | 高性能で家全体を包み込む。費用は高め |
付加断熱 | 200万円〜(規模により増加) | 3〜5週間 | 新築並みの断熱性能を実現。高度な施工技術が必要 |
床下断熱 | 15万〜40万円(床下施工)70万〜110万円(床剥がし施工) | 1日〜1週間/住みながら可 | 冬の底冷えを解消。施工方法で費用差が大きい |
天井断熱 | 15万〜50万円 | 数日〜1週間/住みながら可 | 夏の2階の暑さ対策に効果的 |
効果の比較(生活への影響)
- 内窓(二重窓):熱の出入りを抑え、結露や騒音も軽減。短工期で効果を体感しやすい。
- 外壁断熱:建物全体が断熱層に包まれ、家中の温度が安定。
- 床下断熱:冬の底冷えを解消し、体感温度が向上。
- 天井断熱:夏場の熱を防ぎ、2階の寝室が快適に。
断熱改修は「全部やれば良い」というものではありません。効果とコストのバランスを考え、優先順位をつけることが大切です。
最初に取り組むべきは効果が大きく、補助金制度も充実している窓(開口部)。次に、夏の暑さ対策なら天井・屋根、冬の底冷え対策なら床、最後に外壁で全体を包む――という段階的なアプローチが効率的です。
補助金を活用して賢く工事する方法

2025年は補助金制度が特に手厚く、次のような代表的な制度があります。
- 先進的窓リノベ2025事業(最大200万円)
窓やドアの断熱改修を対象にした制度で、最も注目度が高い補助金です。 - 子育てグリーン住宅支援事業(最大60万円)
壁・床・天井の断熱工事や、省エネ設備改修など幅広い工事を対象としています。リフォームでも活用しやすい制度です。 - サステナブル建築物等先導事業(最大200万円)
ループスアーキテクトが「性能向上リノベ」会員だからこそご提案できる補助金。窓断熱だけでなく、省エネ・耐震・長寿命化など包括的なリノベーションを支援します。
これらを組み合わせれば、ループスアーキテクトであれば最大400万円規模の補助を受けながら断熱リノベを実現することも可能です。
それぞれの住宅の状況やご予算に合わせて断熱リノベ最適設計をご提案しています。
快適と省エネを両立する、断熱リノベの正解
断熱リノベは、「我慢を解消する工事」ではありません。
- 家計を守る
- 健康を守る
- 資産価値を守る
この3つを同時に叶える、未来への投資です。
「エアコンをつけても暑い」「暖房を強くしても寒い」そんな日常から解放され、家中どこでも快適に過ごせる住まいへ――。
断熱リノベは、暮らしの質を大きく引き上げる最も確かな方法です。
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