技術部

セクションチーフ
- デザイン設計の仕事を始めたきっかけは?
- 子どもの頃から絵を描くのが好きで、中高生の頃はバイクや車のデザインに夢中になっていました。大学では建築学科に進み、空間そのものをデザインする面白さに魅了されていきました。大学時代に出会った槇文彦さんの『代官山ヒルサイドテラス』の建築に強く心を動かされ、「こんな空間をつくりたい」と思ったのをよく覚えています。そんな中、実家の建て替え計画に携わる機会があり、家族の暮らしを考えながらプランをつくることの責任や、やりがいを肌で感じました。
この経験から「人の暮らしを形にする仕事をしたい」と思い、本格的に設計の道へ進む決意をしました。今でもこの原点が、家づくりに対する私の想いの中に根付いています。 - 「良いデザイン」とは、あなたにとってどんなものですか?
- 私が思う「良いデザイン」とは、住まい手のライフスタイルや想いに丁寧に寄り添いながらも、設計者としての提案がしっかりと活きているものだと思っています。
印象に残っているのは、ある平屋の展示場。外観はコの字型にし、お庭をどこからでも見渡せました。和の離れを取り入れたり、玄関からファミリークローゼットや水廻り、キッチンへのスムーズな動線を確保しました。内部は勾配天井で開放感を出し、木や石の自然素材をふんだんに使って、落ち着きある旅館のような空間に仕上げました。
家づくりは“形”だけでなく、“暮らし”をデザインすること。土地の特性を活かし、住む人が長く愛着を持てるような家に仕上げる。そんな「暮らしの質を高める設計」を、これからも大切にしていきたいです。 - デザインを考えるとき一番大切していることは?
- 設計の中では「詰め込みすぎないこと」を意識しています。
お施主様のご要望にはまずしっかり耳を傾けて、否定せずに受け止めます。その上で、空間全体のバランスを考えながら、どのアイデアが本当に必要かを整理していきます。
私自身がよく用いる工夫のひとつが、建物の形をできるだけシンプルな矩形に保つこと。そこに要素を置き換えるようにして、暮らしやすく、整った空間に仕上げていきます。多くの要望を詰め込むと、一見贅沢な家になりますが、実際には使いにくくなってしまうことも。だからこそ「引き算の設計」で、本当に暮らしにフィットする空間をつくることが、自分の設計ポリシーでもあり、大切にしているスタンスです。 - 普段どんなものからインスピレーションを得ていますか?
- 日常の中では、建築雑誌を読んだり、ネットでさまざまな建築事例を見たりして、感性を磨いています。実際に建物を見に行くことも多く、以前大阪まで足を運んで見た前田圭介さんの「アトリエビスクドール」には大きな刺激を受けました。写真だけでは分からない空気感や、光の入り方など、実際の空間でしか得られない気づきがあるんです。
また、建築以外ではバイクや自転車のカスタム・修理も好きで、手を動かすことで構造や仕組みに触れることができます。そういった趣味からも「構成の美しさ」や「素材の扱い方」に対する感覚が磨かれていると思います。インスピレーションは日々の生活の中に、たくさん転がっていますね。 - 休日の過ごし方や趣味を教えてください
- 休日はよくジョギングをしたり、山に登ったりしています。体力づくりのためでもありますが、自然の中で過ごすことで心が整い、リフレッシュできます。山頂からの景色や、登っていく過程の変化にはいつも新しい発見があって、設計のヒントになることも多いです。
また、家では料理をするのが好きで、献立を考えて、段取りよく調理していく流れは、建築のプランを考える工程とよく似ています。
趣味でバイクや機械の修理もしていますが、「壊れたものをどう直すか」という視点も、リノベーションの設計に通じていると感じます。
趣味を通して培われた感覚が、設計にも活きていると実感しています。